ユメタビ　-DIARY- RYOT

チェコのプラハからバスでミュンヘンを乗り継ぎ
高級列車で向かった先はフランクフルト。

目的はソーセージ。たったそれだけだけど、それも立派な目的よね。

フランクフルトは駅前から都市化していてどこか寂しい。
特にやりたいこともなく、モダンアート美術館へ行くことにした。

ショートケーキのような三角の建物をした美術館に足を踏み入れると
日本人女性の裸体の写真が飛び込んできた。

天才アラーキーの写真だった。

近年撮られた写真や、数年前の写真。そのほとんどが裸体だった。

天才の写真にはどこか泥臭さというか
リアリティーがあっても、いやらしさは無い。

縄で全身を縛られた裸の女性を見ても、どこか現実的で、
その空気が感じられる。そんな趣味は持ち合わせていないけどね。

いままで天才アラーキーの写真はあまり見たことがなかったが
天才と呼ばれる所以はこういう空気を感じさせるところなのかなぁと思った。
でもなんでドイツなんだろぅ。

美術館にはその他の国の人が撮った写真がいくつも展示してあって、
どれも性を描写したものが多かったな。

ただ、そのどれもがどこか綺麗にまとまっていたんだ。
いや、綺麗すぎていた。

まるで有名モデルを使った広告を見ているようで、
まったく心に入ってこない。綺麗だなーって。

でもそんな写真も、そのほかのアートも「見方を変えると楽しい」もんだ。

そのアーティストの「性格や背景の、知識を持ちあわせて見る」ことも
ひとつの楽しみ方。

だけどアートはときに意味不明じゃん。

だからこそ「何も知らなくても、何を伝えたいのかを想像する」ことでも楽しい。

そういう楽しみ方もあるんじゃないかな。

宿はインターネットで調べた旅人のオススメ宿。
廊下は精神病棟のような静けさで、完璧なドアのカードキーセキュリティーが
さらにどんよりとした気持ちにさせられた。

なにがそんなにオススメなのかがわからなかったが
夜になると宿の中にあるバーに旅行者が集まり
喋りながらビールを飲んだり、ギターを弾き語りしたりする。

ちょろっと知っててもわからない曲ばかりで

「なんだぁもっと洋楽聴いておけばよかったなぁー」

なんて話してると

「ちゃららーーん♪・・」

・・・・！！！！！！！！！

聞き覚えのある曲だ。

外国人がギターを掻き鳴らしたのは
長淵剛の『乾杯』だった。

うぉおおおおおおおおおおおおおおお！！！
（日本人大興奮！！！）

歌詞なんてぶっちゃけサビしかわからないけど
うろ覚えの『乾杯』を自信満々に歌ってやった。
（何回も「今君は人生の大きな舞台に立った・・・」）

宿にはたくさんの国の人が入り混じっていた。

韓国人やアルベニア人、ペルー人、コスタリカ人、ドイツ人。

文化の違いはあれど、
みんながビートルズの曲を口ずさんでいる。

それぞれ言葉は違うけど、音楽は心をつなぐのです。

途中からギターの音にあわせて
おじいちゃんがピアノをセッション。

耳を傾けて聞き入る人、
曲に酔いしれて歌う人、
バーにいる人がひとつになる。

そうか。オススメ宿ってこのことか。

音楽ていいな。

ギターを持って旅をしている旅人を見たことあるけど、
その時はただ大変そうだなぁって思っただけだった。

でもこうして目の前でそれを見ていると、
ギターの重さや不便さ以上の魅力があると思うのです。

ギターで、音楽で、みんなにパワーを与えて、
みんなからパワーをもらって、
そうやって旅をしている。

そんなスタイルがうらやましいと思うとです。

旅をして気づくことってたくさんあるんだ。

世界のこと。

人のこと。

でも何より一番気づくのは
一番長く向き合う自分自身についてだと思う。

自分のこと、今まで知っていたようで知らないことがたくさんあった。

ボクは何も出来ない。

音楽もうまく奏でられなければ、
歌もうまく歌えないし
外国語も喋れない。

でも自分のスタイルは変えないよ。

それがボクのスタイルで、いいところだと思うから。

誰かの真似をするではなく、

オリジナルでいいじゃない。

いいところを伸ばそうよ。

違うスタイルは違う見方を可能にする。

絵画をみて、何かを感じなければいけないと思っていた。

でも、感じることから、想像することを楽しんでみたら
今まで知らない面白さがあった。

感じてみようかな。全てのものを。

受け入ちゃおうかな。たくさんのことを。

美味しいソーセージは見つからなかった。

帰国したら作ってみようかな。ソーセージ♪

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